磁気冷凍の水素液化への応用

摘要

磁気冷凍は超低温や極低温を効率的に発生する冷却手段として，すでに一部が実用化されている．しかしこれらの磁気冷凍装置はあくまでも極低温のみで作動する冷却器であり，磁気冷凍としてのメリットを活かすためには，室温にいたる温度領域をすべて磁気冷凍でカバーできるようにすることが，不可欠である.昨今の磁気冷凍研究の進展は，実用的な磁気冷凍を具現するツールが整いっつあることを示している.本研究で報告したCMRと並行してAMRの基礎試験が進行中である．本年度は77K領域におけるAMRの実証と効率の検証.およびCMRとAMRとを結合した際におけるインターフェイス損失の解明が予定されている．これには東北大学の深道·藤田研究室で発見された最新のLaCe（FeMnSi）系→次転移磁性材料も使用される予定である．このように水素磁気冷凍プロジェクトでは，日本の主要な磁気冷凍研究者が結集し，より大きな拡がりが形成されつつある．末尾になるが，本年3月，我が国における磁気冷凍研究の黎明期に多大な功績を残された，橋本魂洲東京工業大学名誉教授ならびに若林英彦武蔵工業大学助教授が相次いで他界されるという言卜報がもたらされた．ここにご冥福をお祈りするとともに，謹hで本稿を捧げるものである．