マーケテイングからみた顧客価値創造～スクリプト法を用いた'コト'の提供～

摘要

ブランド戦略を主たる研究テーマとして掲げ，この戦略立案にかかわる各種マネジメント手法の開発を進めている筆者の研究室では，様々な企業からの課題解決要請を受託している。 依頼主企業は製造業からサービス業まで，また一般消費者向けブランド戦略だけでなく，法人顧客向けブランド戦略まで多岐にわたっている。受託案件の内容は，「革新的な要素技術をいかした新規事業の方向性探索」というMOT課題をはじめとして，カスタマーサポート部門が収集した顧客情報をいかした製品開発のあり方，確実に商談成立に至らしめるための営業ツールの整備，ブランド認知開始から購入に至るまでの広告コミュニケーションプロセス管理指標の刷新など各社各様の依頼内容である。 このように依頼内容は様々であるが，突き詰めて考えると要するに「顧客がみえない」「どのように顧客をとらえたらよいのかわからない」「顧客の何を管理対象にすればよいのかわからない」といったことに行き着くと思われる。 本稿では，マーケテイングからみた顧客価値の創造と遷して，企業が顧客と長期にわたって良好な関係を築〈ための着眼点について考察する。