溶液受粉と新優良台木による キウイフルーッ省力安定生産技術開発

摘要

キウイフルーツは主に西日本地域の中山間地帯における基幹作物である。産地では，担い手の高 齢化が進展する中，特に短い開花期に作業が集中する人工受粉の省力化や，高樹齢ィヒに伴い頻発し てレゝた突発性枯死症状への対応が切望されていた。人工受粉では，確実かつ省力的な溶液受粉技術を新たに開発した。従来，溶液受粉は，溶液中の 花粉均一化が難しかったが，分散媒として有効な多糖類を選抜することによって実用化させた。本法は慣行法（粉末法）と比べ4 ni当たりの作業時間が5-7割短縮，花粉使用量は同程度，受粉資 材の経費を50%以下に抑えた。新優良台木栽培では，突発性枯死症状の発生原因を新病害(根腐病と命名）と特定するとともに. キウイフルーツ近縁種のシマサルナシ力;—，根腐病に強いことや，キウイフルーツ栽培品種と接木親 和性があり，生育，品質とも慣行台木（根腐病罹病性）と差がないことを確認した。さらに，シマ サルナシ交雑実生を用いた場合でも根腐病被害を低減できることを確認し，種子による新優良台木 の供給体制を構築した。