マイクロ化学チップの研究開発動向

摘要

分析システムや生産システムをマイクロチップ上に集積したマイクロ化学チップは小さくて効率よく，高速に化学プロセスを処理することができる。 その結果，マイクロ化学チップは分析技術，化学合成技術，バイオ関連技術などの広範な分野において従来のマクロな手法と比較して桁違いな性能をもたらす画期的な手法として注目を集めている。 多くの可能性に対する期待感は今や世界的に広がり，激しい研究開発競争が繰り広げられている。マイクロ化学チップと一口に言っても，マイクロ流体デバイスをペースにしたものや電気泳動をべースにしたものなど，目的に応じてさまざまなアプローチがある。 世界的な視点からもそれぞれに勢力分布や研究開発動向は異なり，また，研究を実際に進めている主体や，産学官の各分野の動向も，最近では国によって大きく異なってきている。 こうした情勢の中にあって，我々のマイクロ化学チップ技術について世界の研究開発の動向や戦略などと比較してみたい。