タンパク質MS解析のための高速酵素消化技術

摘要

質量分析(MS)によるタンパク質構造解析において，タンパグ質のプロテアーゼ消化効率は解析の大きなポイントとなる。また糖タンパク質の構造解析の場合，プロテアーゼによるペプチドへの断片化に加えて，グリコシダーゼによるペプチドからの糖鎖遊離が必要となる。しかし，通常の液相消化の場合，消化に長時間を要したり，消化が不十分である場合が多く認められる。更に糖タンパク質の場合は2段階の酵素処理工程が必要となるため，作業は煩雑であり長時間を要する。近年，固定化酵素を用いたタンパク質消化について報告がなされている。プロテアーゼやグリコシダーゼを支持体に固定化して消化に用いることで消化効率を向上させ，通常－晩要する消化時間を，数分から数時間に短縮可能であることが示されている。我々は固定化酵素および微量溶液反応用マイクロチャンバー“はいぶるクン”（製造：フルイドウエアテクノロジーズ，販売：日立ハイテクノロジーズ）を組み合わせることで，タンパク質消化効率の向上および糖タンパク質の2種酵素－括処理を実現したので紹介する。