カナマイシン発見のころ

摘要

戦後間もない昭和25(1950)年4月、筆者は国立予防衛生研究所抗菌性物質部(部長梅澤濱夫先 生)に入所した。当時、抗菌性物質部は菌学室、生物室、化学室、中間試験製造室、検定室の5室に分 かれており、筆者は初めに生物室の室長であった竹内富雄先生の下で、培養?精製の技術を教えて戴き、 その後、新設された中間試験製造室に移った。中間試験製造室の室長は、大里悌輔先生で、ほかに歌 原良三先生、柳下弘毅先生がおられた。中間試験製造室には、400L培養タンク3基と精製設備があり、 フラスコ.スケールでは得られな多量の試験サンプノレを提供出来たので、新抗生物質の試験研究に大 いに寄与していた。約1年後の1951年、スクリーニング研究を分担することになり、菌学室の岡見吉郎先 生から新規に分離された放線菌の菌株数株を受け取り、スクリーニングを開始した。