NKKにおける技術開発の歩み

摘要

上記標題を語る上で，今泉嘉一郎氏の存在を抜きにして考えることはできない。 氏は明治45年（1912年），事務の白石元次郎，技術の今泉嘉一部のコンビで当社の創立にあたられた。 氏は早くから技術開発の重要性を認識され，昭和10 年（1935年），技術研究部を創部された。 68才という高齢ながら，ご自身が初代研究部長に就かれている。 当時の全国粗鋼生産は，年200万トンのレベルであったことを考慮すれば，将来の技術を見据えた研究部の設置は画期的なことであり，氏の技術開発に対する執念を感じ取ることができる。このとき建設された3階建ての白亜の研究棟は，渡田地区の研究所別館という呼称で現存しており，現在はNKK Tubesが使用している（写真1）。