薬剤性肺障害の診断と治療

摘要

薬剤性肺障害は，治療を目的として投与されている薬剤によって呼吸機能に障害をきたす医原性の病態である。 その多くは問質性肺炎の病態を呈するが，浮腫性変化, 肺胞出血，狭窄性細気管支炎（chronic obstructive bronchioIitis，CBO）や気道収縮といった気道への影響，胸膜病変などの様々な病態をとることもある。 原因となる薬剤は350を超え．その新しい情報は随時Websiteの“Pneumotox on line”に掲げられている。薬剤性肺障害の機序は肺胞上皮細胞や血管内皮細胞などに対する直接的な傷害のみではなく，アレルギー反応からも生じ，その症状発現が必ずしもすべての患者に単一ではない。 また短期間の服用で発症すれば診断は容易でも，長期間服用してきた薬剤や健康食晶が原因となる場合診断が遅れがちになる。 背景に特発性肺線維症などの肺疾患がある場合には，薬剤性肺障害の症状も重篤になりやすい。 特に肺癌患者には肺線雑症を中心とした問質性肺炎を伴っていることが少なくなく，こうした患者抗がh剤や放射性による治療を受けている間に発症した薬剤性肺障害は早期に診断し，十分な対処が必要となる。