肥満症の内科的

摘要

肥満症治療の基本は患者主体に実施される食事療法，運 動療法である。しかし生体エネルギ一の出納を負に傾 けるだけでは様々な有害事象を生むため，滅量の質を重 視した治療が重要となる。食事療法では蛋白保持調整 食の活用で，筋肉量の滅少を極力抑えた減量が可能になつた。運動療法でも有酸素運動とレジスタンス運動の 組み合わせによりサルコぺニァの予防などより良いァ ゥ卜カムが得られることがわかってきた。また，治療 の自己中断やリバウンドを防ぐ取り組みとして，患者の 動機づけや主体性向上という観点から行動療法が果た す役割は大きい。難治例に対しては薬物療法を考慮す る必要がある。近年，摂食制御機構の解明が進み，肥満 形成の各段階を標的とした抗肥満創薬が精力的に推進 されている。また腸内細菌を介した肥満症の新規治療 法が注目されている。肥満症治療の選択肢の幅は確実 に広がろうとしている。