これからの肝臓病研究と 診療の行方

摘要

最近の肝臓病診療の進歩には驚くものがある。 内科の他の診療領域に比べても肝臓領域の進歩は 速い。領域によっては，元となる疾患を治癒-減 少させるのが困難なところもある力5，肝臓病は治 し過ぎか？とも思えてくるこの頃である。ウィルス肝炎の領域では，何よりもC型肝炎で ある。肝炎診療はC型肝炎ウィルス（HCV)発見 以前と以降で非常に大きな変化があつた。1989年 にHCVが発見され，4年後にインターフェロンが適 応となりHCV感染の一部が治癒する様になり活況 を呈したが，その効果は満足できるものではなか つた。しかし，その後の抗HCV治療は着実に進歩 してきた。あと1-2年で，HCV感染の95%が「治 癒」する時代になる。しかし，これは慢性肝炎や 肝硬変の治癒とイコールではないことに注意する 必要がある。肝細胞癌のリスクは軽減されるがゼ 口にはならない。高齢者では肝発癌リスクは高止 まりする。もとより，HCV排除によって肝硬変が 正常肝臓に戻るというデータは存在しないのであ る。HCV排除後の患者指導に熱意をもって取り組 む必要がある。SVR達成後も継続して画像検査(腹部エコー）を含むフォローアップを受けること を，患者さhに確実に指導する必要がある。