骨が産生するホルモンと 代謝性骨疾患

摘要

くる病/骨軟化症は，骨石灰化障害を特徴とし，骨粗鬆 症と共に低骨密度を呈する疾患である。くる病/骨軟化症の病態の検討から,繊維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23: FGF23)が，骨によつて産生され腎臓 に作用することにより，リンとビタミンD代謝を調節す るホルモンであることが明らかにされた。また過剰な FGF23活性によりいくつかの低リン血症性くる病/骨軟 化症が，逆にFGF23作用障害により，高リン血症を特 徵とする腫瘍状石灰沈着症が惹起されることも報告さ れた。さらに現在，FGF23活性を調節することが，こ れらの代謝性骨疾患の新たな治療法となるかどうかが 検討されつつある。これらの結果から，骨は内分泌臓 器としても機能すること，一部の代謝性骨疾患は内分 泌疾患、として理解できることが明らかとなつた。