先天性両側不完全顔面神経麻痺症例に対する舌下神経を用いたNeural Signal Augmentationの試み

摘要

可逆性の顔面神経麻痺に対し、神経端側縫合を用いて舌下神経からの神経シグナルを顔面神経に付加するneural signal augmentation/neural superchargeの概念が 2007年に Yamamotoら[1]により報告されて以来、顔面神経-舌下 神経の神経ネットワーク再建法が盛hに行われて成果を上げ ている。この再建法は不完全顔面神経麻痺症例に対し残存す る顔面神経機能を損なうことなく、軽度な手術侵襲で治療可 能で不完全顔面神経麻痺症例に対して新たな治療の路を開い た。今回先天性の両側不完全顔面神経麻痺症例に対しこの方 法を用いて治療を試みたが、術前の予想とは大きく異なる術 中所見のため手術の中断を余儀なくされた貴重な経験となつ たため報告する。