早期胃癌に対するESD施行後1年以内に発見された同時性多発胃癌の検討

摘要

背景·目的：早期胃癌の同時·異時多発の頻度は報告により大きな差がある.この原因は同時多発の見逃しと考えられるが，近年，スコープ性能の向上により多発病変の発見率は向上していると予想される.このため，早期胃癌ESD症例をハイビジョンスコープにてI年間経過観察し，同時及びI年以内発見の臨床的同時多発胃癌の頻度を検討した.方法：早期胃癌ESD症例に，3, 6, 12力月後にハイビジョンスコープによる内視鏡検査を施行し，同時及びI年以内発見の多発癌の頻度を検討した.年以内の発見例については治療前の画像で認識できるかを検討した.結果：40例中2例に同時に，6例にI年以内に異所性早期胃癌が発見された.そして，I年以内発見の6例中3例が初回治療前の画像で確認できた.結論：最新のスコープを使用し検査を行えば，同時及びI年以内発見の多発早期胃癌の頻度は20.0%と極めて高率で，I年以内の発見例の半数は術前の見逃しであった.