クリエイターの考えるセキュリティ［Part 01］鈴木康広「無意識の領域を開く本人の鍵」

摘要

認証とセキュリティと聞いて、2011年の作品「まばたき証明写真」を思い出しました。これはまばたきを検知して自動的にシャッターを切る証明写真機です。社会のなかで「本人」であることを裏付けるのが証明写真。通常、目を閉じてしまったら、その写真は認められませh。0.5秒という瞬間のなかに自分が「いる」のか「いない」のか、実際の体験を通して問いかけています。僕のなかで認証とセキュリティは、心のあり方を問うこととつながっています。例えば、自分がクリエイターとして大切だと思うものは通帳やパスポートではなく、学生の頃からアイデアを書きためた膨大な量のノートやメモ。その個人情報を読み解く鍵は、自分自身です。ますます社会化していくのが現状の認証とセキュリティの技術だとしたら、一般化できないプライベートな情報の価値やそのあり方に着目していくことで、個人を成立させるために必要なものが浮かび上がってくると思います。