日本人類学会「若手会員大会発表賞」第70回大会受賞対象発表の要旨

摘要

グルタチオン-s-転移酵素μ1(GSTM1)は細胞の解毒をになう。この酵素をコードするGSTM1遺伝子の欠失は人類集団中に高頻度でみられる。GSTM1遺伝子の両隣には,非常に似た配列があり,これらが組み換えを引き起こすことで遺伝子欠失が起きる。本発表では,なぜこの一見有害な遺伝子欠失が人類集団中に広まっているのか,その進化的背景を明らかにすることを目的として,ヒトとチンパンジーにおいて,また1000ゲノムプロジェクトで公開されている様々な人類集団データを用いての比較ゲノム解析をおこなった。