電磁誘導のおさらい,電波法，コイルと電源の考察 - 磁界結合方式I

摘要

第2章～第5章では，磁界で結合してワイヤレスで電力を送る磁界結合方式について解説します．磁界結合を使ったワイヤレス電力伝送“WPT”（Wireless Power Transfer）の技術は早くから製品化されており，その一種である電磁誘導方式は，コードレスホンの子機の充電，電動歯ブラシの充電，そして工業的には工場内の搬送システムで使用されてきた，昔からある技術です．近年では，充電を必要とする身の回りのモバイル機器が増加したことにより，それらの充電作業を簡単に行いたいという要望が高まっていました．磁界結合に関しては容易に上の値を大きくできる特徴があり，インバータの動作周波数の制約もあいまって，kHz帯での利用が多く，歴史があります．一万，MHz 帯の利用はおもにMITの発表以降から始まりました．さて，第2章～第5章では網羅的に磁界結合に関することを説明します．とくに，LCLやLCCといった回路トポロジーに関しては，WPT学会の中では最先端の事柄，かつ最近のブームでもありますが，まだ一般向けに紹介された例は少ないので，なるべくわかりやすい形で説明します．