安全で円滑な列車運行を支える有線／無線通信と無線応用の源流を辿る: 鉄道の無線史 第4回 鉄道における無線通信系の発展と変遷

摘要

明治5年（1872年）に新橋～横浜間で鉄道が開業した当時，地上～列車間の連絡方法は，手旗と笛による視聴覚を通じたものでした．詳細な連絡は，地上駅員と列車乗務員が直接会話していました．また，列車の運転指示には，腕木式信号機と合図灯が使われており，その後の鉄道信号機へとつながっています．鉄道事業が拡大し，長距離化，定時列車運転，列車運転本数が増大化する中で対列車連絡の迅速確実化が必要となり，確実な連絡手段として駅から乗務員宛は「運転通告券」を駅助役または運転掛（係）が乗務員に手渡し，乗務員から駅宛はホーム前後部に設置された「ノリホ箱」にノリホ（乗車人員報告書の略称）を投入して，駅係員が記録紙を受け取る方法が採られました．