第109回 判例による自治体コンプライアンス(42) ーー般廃棄物の業務委託に関する 指名競争入札を違法とした裁判例ー 阿部鋼といっしょに学ぶ 廃棄物処理法

摘要

今号では、「判例による自治体コ ンプライアンス」の第化弾として、 廃棄物処理法下における自治体の廃 棄物行政の分野における適法性確保 の参考になる判例を紹介する。本件 は、Y市の住民である原告Xが、Y 市がー般廃棄物収集運搬業務の委託 契約締結のために実施した指名競争 入札手続において、最低制限価格を 設けたこと等が違法なものであり、 そのため、本来落札を許すべきでは ない業者に落札を許し、Y市に本来 入札すべきであつた最低入札業者の 入札額との差額2304万1500 円相当の損害を与えたとして、主位 的に上記委託契約の違法性を、予備 的に支出命令の違法性を主張して、 地方自治法242条の2第1項4号 に基づき、被告Y市長に対して、市 長の職にあつたYに対し損害賠償の 支払を請求するよう求めた事案であ る。