エラストマーを用いた人工筋肉発電とその他の再生可能エネルギーを利用した発電との比較

摘要

近年地球規模での温暖化が進み，各地で今まで考えられない災害等が多発している。 また，昨年末にアメリカ五大気研究センターで発表されたシミュレーションによると，このままのペースで人類がエネルギーを消費し続けると，早ければ，30数年後に，夏の北極の氷がほとhどなくなる可能性がある，というショッキングな内容となった。今後，中国，インド，南米各国が，彼らの産業や生活レベル向上による急激なエネルギー需要量を勘案すると，地球が非常事態に達する可能性が高いことが容易に理解できる。 そのような事態を回避するための一手段として，再生可能エネルギーの有効利用があり，現在太陽光発電，太陽熱利用，風力発電，バイオマス利用発電，地熱発電，雪氷熟発電，波力発電等に適した素材·材料の研究開発や周辺機器の研究開発等がなされている。 ここでは，再生可能エネルギーの新しい回収手段として，誘電型エレクトロアクティブポリマー（エラストマー）人工筋肉アクチュエータを用いた発電の可能性を論議したい。 このアクチュエータは，高効率で電気的エネルギーから機械的エネルギーに変換可能（理論変換率：80～90％）で，かつ高エネルギー密度（1.0W／g）を有している。 そのため，アクチュエータとして駆動する動作の逆を行う事により，現状の素材で最大で0.4J／g位の出力は可能と思われる。 新しい素材では，2.0J／g位の値を得るのも夢ではないかもしれない。