浸炭窒化した炭素鋼の転がり軸受への適用Applying Carbonitrided Carbon Steel on Rolling Bearing

摘要

転がり軸受用材料としては軸受鋼やはだ焼鋼が広く用いられてい るが、合金元素が少ない炭素鋼を適用できれば軸受の低コスト化が期 待できる。炭素鋼を用いる上で予測される問題として、合金元素が少 ないことに起因した熱処理時の焼入性不足が挙げられる。一方、部材 の表層部の焼入性を改善する手段として浸炭窒化処理があるが1)、浸 炭窒化によりCCT線図のNose位置が長時間側へ移行し、不完全焼入 が発生しない冷却速度範囲が広くなると考えられる(Fig.1)。しかし製 品肉厚が大きくなると熱容量の関係で冷却速度が遅くなり、この改善 効果にも自ずと限界がある。本報では炭素鋼S53Cに浸炭窒化処理を 実施する際の冷却曲線を測定し、臨界冷却速度の推定を試みた。そし て、不完全焼入組織が発生しない条件で焼入れした軸受について転動 疲労寿命試験を実施し、軸受への適用可否を検討した。