その場中性子線回折/4D-EBSD 法による単相?複相組織鋼における変形挙動の階層性評価

摘要

近年の著しいコンピュータ性能の向上は、組織観察の内容を、従来の静的?2D 観察から、動的?3D 観察(合わせて4D と呼ぶ)へと変化させており、組織形態およびその発達過程をより真実に迫って評価できる時代が到来している。形態のみならず、結晶学や、組成分布も4D 評価が可能になろうとしており、組織形成機構や、力学特性発現機構の一層の解明に、4D 解析法への期待が高まりつつある。これに加えて、鉄鋼材料組織は様々なスケールの組織で構成されており、その階層性を評価することも組織の全体像を把握するうえで不可欠である。階層性評価に、【マクロ評価】中性子線回折法による応力?ひずみ分配測定-【ミクロ評価】EBSD測定によるひずみ分布測定-【ナノ評価】TEM による転位形態?転位構造評価の連係が大いに威力を発揮する。本講演では、階層的4D 解析手法(Fig.1)を高窒素オーステナイト鋼1)、パーライト鋼2,3)、マルテンサイト鋼4)に適用した例を中心に述べる。さらに、現状の課題である3D 像の定量化と、フェーズフィールド法との連係について触れる。