(S122)二酸化炭素を利用した製鋼スラグからのカルシウムの溶出挙動

摘要

鉄鋼製造工程において鉄鋼スラグが副産物として生成する。この鉄鋼スラグは路盤材や、コンクリート用粗骨材、セメント原料などとして幅広い分野で有効活用されている。さらに近年ではロックウール用原料、海草の増殖礁などへの利用が検討され、さらなる高付加価値化が求められている。一方、演者はCO2 を用いた廃棄コンクリートからのカルシウム分の溶出と、得られる高濃度Ca(HCO3)2 溶液からのマイクロカプセルの作製についてすでに報告している1)。鉄鋼スラグはコンクリートの組成と類似していることから、鉄鋼スラグに対してもCO2 吹き込み法によりカルシウム分を溶出できるものと推察できる。このように抽出したCa(HCO3)2 水溶液は高付加価値の炭酸カルシウムマイクロカプセル原料として利用できるほか、鉄鉱造粒用石灰水溶液、または沈降性炭酸カルシウム粉末としての利用が期待できる。そこで本報告では一例として製鋼スラグを用い、CO2 吹き込み法による製鋼スラグからのカルシウムの溶出挙動について検討を行った。