( S254) 水素-転位相互作用の水素脱離下In situ チャネリングコントラストイメージング

摘要

水素脆化機構解明のためには、Hydrogen-Enhanced Localized Plasticity への理解も含め、水素と転位の相互作用を理解することが不可欠である。水素-転位相互作用の直接観察についてはFerreira らの環境セルを用いた透過型電子顕微鏡(TEM)観察の報告1)がある。この報告では、転位間距離が水素の導入によって短くなることが直接的に観察されており、HELP効果が存在する強い証拠として知られる。しかし、水素脆化機構は多種多様な材料ごとに多様である。このため、上述の転位-水素相互作用の直接観察が種々な各材料に適用されることが期待されるが、現実には極限られた材料に対してのみ報告がある。この理由の一つとして、環境セルを有するTEM 観察が、一般には簡便とは言い難いことが挙げられる。転位を観察する手法としては、TEM 観察の他に、近年は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた電子チャネリングコントラストイメージング(ECCI)法が注目されている。我々の研究グループでは、水素由来のき裂周辺をECCI 法で観察することで、水素助長き裂発生/伝ぱ機構を明らかとしてきた2-5)。さらに、この手法は一本の転位を観察可能である4)ので、上述の転位-水素相互作用も観察可能であると考える。本講演では、水素-転位相互作用の直接その場観察にECCI 法を用いて成功した例を報告する。