石炭のコークス化初期過程における固化物の化学構造因子

摘要

はじめに述べたようにコークス化過程にはさまざまな要素が含まれており複雑なプロセスには違いないが、一つのアプローチとして石炭の分子レベルの解析に着目した。 劣質炭の使用拡大もしくは劣質炭の効率的な改質プロセスの提案にそういった知見を活用することを念頭に、良質炭と劣質炭、ならびにそれぞれのチャー試料の化学構造に焦点を絞って検討をおこなった。 その結果、原炭と同様、得られるチャーの構造には差がみられた。 これは原炭の構造とそれに起因するコークス化過程の差異によって生じていると考えられるチャーの詳細な構造比較から、ある石炭が良質炭として機能するためには芳香族環の発達を促しやすい構造が必要であるという可能性が考えられ、劣質炭から如何にそのような性質を引き出すかが一つの開発指針となろう。