血管機能（PWV, CAVI, AI, ABI)

摘要

多くの心血管疾患の病因となる粥状動脈硬化(atherosclerosis)は内膜に起こる粥腫形成 (atherosis)と中膜【こ起こるMonckeberg硬ィ匕 が主体となる.粥状動脈硬化のきっかけは内皮 障害であり，それに続いて内膜?中膜へと病変 が進展する.内膜には脂肪斑，粥腫，潰瘍形成 などを生じ，肥厚すると動脈狭窄を生じる.脂 肪成分が多く被膜の薄い不安定な粥腫は破綻し やすく，閉塞ないし高度の狭窄により臓器障害 を発症する.一方，中膜は加齢とともに弾性線 維力s劣化と同時に減少し，層状構造を失い，置 き換わるように平滑筋や膠原線維が増加し，さ らには石灰化を生じ，動脈は硬くなる（動脈ス ティフネス）.そうなると動脈の伸展性は著し く低下し，血行動態に影響を及ぼす. 血管障害の評価には，形態評価と機能評価が ある力s，前者には超音波検査，CTやMRIなど があり，後者には血管内皮機能検査，脈波伝播 速度(pulse wave velocity: PWV), caゾi(car-dio-anKle vascular index), augmentation index (AI)，中心血圧(central blood pressure: CBP)，足首上腕動脈血圧比（ankle brachial in-dex: ABI)などの血管機能検査がある.本稿で は，代表的な血管機能検査であるPWV， CAVI, AI,中心血圧，ABIについて紹介する.