腹臥位 臓器鞘をランドマークとした胸腔鏡下食道切除術

摘要

腹臥位では，重力により肺と心臓が腹側に移 動することにより食道は容易に視認され，安定 した術野で高解像度カメラを通した近視野観察 による微細解剖に沿つた手術が行えるように なってきた.当院で行っている臓器鞘をランド マークとした手術のコンセプト（図1)を，手術 手技と縦隔解剖に分け概説する.「受け」という概念を利用して，counter-traction をかけながら電気メスによるpoint dissectionを行う.剥離すべき層を探し，層の 間を剥離し，切除する層の中から温存すべき神 経を愛護的に温存する.中下縦隔の食道背側面 では左縦隔胸膜を開放しないことで胸膜が「受け」となりNo.112aoAの郭清が容易となる（図2-e).