前頭側頭葉変性症　前頭側頭葉型痴呆前頭葉変性症型

摘要

本稿に与えられたテーマ,前頭葉変性症型(frontal lobe degeneration type: FLD)は, 1994年に提唱された疾患概念である前頭側頭型痴呆(frontotemporal dementia: FTD)の中で病理学的に規定された一疾患型である.かつてから,Pick病(Pick'disease)にまつわる病理学的な論争や, FTDのtemporal variant, frontal variantといった様々な用語の提唱など,前頭側頭型痴呆の概念や分類をめぐって多くの混乱がみられ,Alzheimer病のように疾患の定義が明確には定まっていないため,前頭側頭型痴呆という名称には理解しがたい印象がある.以下に前頭葉変性症型という用語が誕生するまでの歴史的変遷について要約し,その概念を整理してみたい.