曲指数型分布族に対するパラメータと分布の統計的性質について－τ-情報幾何学の視点から

摘要

曲指数型分布族は，そのパラメータの取り方により分布の統計的性質が変化することが知られていたが，1982年にHougaardは，それらを整理し一つの微分方程式にまとめあげた．その微分方程式には一つのパラメータδがあり，それを変化させることで様々なパラメータの取り方を実現させ，曲指数型分布族の統計的性質をコントロールすることができる．その後，1984年にKassがHougaardの微分方程式は，いわゆるα－接続の値が零になることと同値であり，αの値とδの値との間にはα=1-2δの関係があることを示した．その後，1999年に一般化線形モデルの性質を調べるためにEllemにより，パラメータの次元が多次元の場合に拡張されている．これらの結果が，平行移動を拡張することで測度空間をアファイン空間とすることで得られるτ-情報幾何においても同様に成立することを示す．