環状オレフィン共重合体「アペル」の光学用途への展開と技術開発動向

摘要

近年、スマートフォンに搭載されたカメラ、車載カメラ、ヘッドマウントディスプレイなど、さまざまな用途で光学系レンズが用いられ、それらの材料として従来の光学材料であるガラスではなく、光学用プラスチックが適用される事例が増加している。本稿では、当社が開発した光学用プラスチック「アペル」について、各種用途における技術開発動向にスポットを当てて解説する。光学部品のプラスチック化については、古くは第二次世界大戦中にさかのぼり、アクリル樹脂（PMMA）が戦闘機の風防などの光学部品に適用され、戦後、民生機器の光学部品へと広がっていった。しかし、PMMAは透明性が高く複屈折が低い利点があるが、耐熱性の低さや吸水による屈折率の変化といった問題があった。