圧縮残留応力および表面硬化層を付与する複合切削工具

摘要

みがきレスの金型加工に代表されるように、切削加工を最終工程として、リードタイムとコストの削減に貢献しようという取組みが多くなされている。 切削加工に対する要求として、加工された製品の形状精度と粗さが所定の値をクリアすれば良い場合には、通常のエンドミル加工で対応できる場合が少なくない。一方で、製品の中には、疲労寿命や部分的に高い表面硬さが必要とされる場合がある。例えば、航空機製造過程において、アルミニウム合金製主要構造部品には多くの場合、機械加工後にショットピーニング加工を施すことが指定されている。 これは、通常、切削加工によって被削材の加工表面層に生成される残留応力は、引張り残留応力となることが多く、生成された引張り残留応力は加工表面にクラックが発生した場合、これを拡張する方向に作用し、製品の疲労強度低下および応力腐食割れの原因となるからである。