第13回 中国への生産拠点シフト本格化の中、高付加価値特化での日本残留－サイべックコーポレーションの技術·経営戦略

摘要

先日、主催する研究グループのシンポジウムを松本大学で開催した。その際、サイべックコーポレーションを訪問した。同社は順送プレスやトランスファープレスの工程に「冷間鍛造」などの工程を入れることにより、板厚を変えて精密加工を行う冷間鍛造順送プレス加工（CFP）を得意とする、プレス部品成形·金型製作企業である。従業員は約70名。創業者およびその緑の方々と何度か欧米の金型企業訪問をご一緒させていただいたことがあり、ぜひ訪問させていただきたいと思っていたのが、ようやく実現した。お話をうかがううち、中国、インドなどアジアの地場企業で聞いた話がいろいろオーバーラップしてきた。金型メンテナンスから金型づくりへの移行、日本など先進国からの技術導入、取引先の変化などである。また、中国などへの海外シフトで日本国内需要が減少する中、成熟技術をシンガポール企業へ技術供与し、あえて日本残留を選択した技術戦略も興味深く、今回は同社訪問の内容を紹介したい。