放電加工機における最適加工と自動化システム

摘要

放電加工を「最適に」実行するためには、処理すべき数多くの課題があげられる。 最終的に得たい加工結果から、放電ギャップと揺動パターンを選択し、加工条件を決定することがもっとも重要なことは自明である。 しかしながら、それだけで放電加工という作業全体が終了するわけではない。 加工位置定義やワークの位置決め、電極の芯出しなどのいわゆる「段取り」作業も加工全工程では律速段階となる。 また、加工条件決定だけでなく、段取り作業を効率的にかつ最適に行うことこそ熟練技であり現場での最重要項目ともいえるだろう。 そのうえ、1つの放電加工単位を連続的に複数のワークや電極、パレットを交換しながら行うことがいわゆる「自動化システム」の役割となる。一方、自動化システムという場合の「自動化」という言葉には、システムの利用者と提供者、自動化されることによって得られる結果、自動化することの意義などの違いによってさまざまな解釈が存在する。 例えば「自動化」と「無人化」の違いは何か、高精度加工と自動化は両立するのか。 現在、当社では「Q{sup}3vic-Solution」というコンセプトを掲げ、3次元ソリッドモデルを「直接」取り込むことのできる工作機械の普及を昨年夏より進めている。これは、設計から加工までのすべての現場において3次元ソリッドモデルを一貫して使用できるようにすることを意味する。 3次元ソリッドモデルの特性を活用すれば、システムの視覚的な操作性向上のみならず、自動的に処理をするために必要な情報を3次元ソリッドモデルから直接的に得ることができるので、システム本来の役割をより十二分に発揮できることとなるのである。