超高強度鋼部材のホットスタンピングにおける切口面性状および機械的特性に及ぼすホットトリミング条件の影響

摘要

自動車において，燃費向上のための軽量化および乗員保護のための衝突安全性向上が求められており，高強度部品が望まれており，高張力鋼板の適用が拡大している.しかしながら，高張力鋼板の冷間プレス成形では強度の増加に伴って，スプリングバックおよび成形荷重の増大，成形性および金型寿命の低下，遅れ破壊などが問題になり, 1.2GPa級鋼板の成形が限界とされている.一方，超高強度鋼部材のホットスタンピングでは，焼入れ鋼板がオーステナイト温度域である1173K程度に加熱され，プレス機へ搬送後金型で成形されると同時に焼入れされ，1.5 GPa程度の引張強さを持つ高強度部材が生産されている.成形品を下死点で金型で保持して焼入れを行うことはダイクエンチングと呼ばれており，ホットスタンピングに特徴的な工程である.ホットスタンピングでは，スプリングバックがほとhど生じず，成形品の形状精度が高い.これはダイクエンチングにおける下死点保持中に，マルテンサイト変態による体積膨張によつて塑性変形するためである.