特集：材料技術トレンドを読む工業材料キーワード50－デンドリマー

摘要

近年，オリゴマー，マクロモノマー，デンドリマーなどの低分子量体と高分子量体の中間の分子量を有した中間分子量体への関心が世界で急速に高まっている．例えば，コーティング剤，樹脂，添加剤などの改質剤として，化学工業的にもこれらの材料に大きなビジネスチャンスがあることが分かってきたからである．特にデンドリマーヘの注目度は高く，学際的にも工業的にも多くの研究·開発がなされている．デンドリマーは，規則正しい分岐構造からなる樹状の分子であり，分子量が十分大きいときには球形構造となる（図1）．多分岐高分子に対して枝分かれが規則正しい点がデンドリマーの特徴であるが，その歴史は比較的新しく，1985年の論文発表が初めてである．ここ数年内におけるデンドリマーの論文発表数は著しく増加しており，それともに出願されている特許数も膨大になりつつあることは容易に想像できる．デンドリマーは，通常の高分子合成とは異なり1段階ずつ分子鎖を分岐成長させるために，ナノメートル程度の大きさ制御性をもって作ることができる．分子量によって球状分子の大きさが決定し，数nmから十数nmの分子直径をもっている．