有機強誘電体材料の開発

摘要

有機ELや有機半導体材料等、有機エレクトロニクスが注目を集める今日、強誘電体としての有機材科はまだまだ未開拓である。 強誘電体のもつ機能は、キャパシタ、圧電素子、アクチュエーター、非線形光学素子といった広範な応用分野があるが、無機材料が中心となっている。 いっぽう、有機強誘電体といえばポリフツ化ビニリデン（PVDF）といった高分子材料が知られているが、低分子系については極めて少例であった。 しかしながら、多様な機能を発揮する強誘電体を軽量·フレキシブルな有機物で実現することは、新たな応用展開の発掘を促す上でも非常に意義があると考えられる。 有機強誘電体の実現例が乏しいのは、極性分子（例：チオ尿素）を使う従来の設計手法（図1a）に一因があると考えられる。 一般に分子間の双極子-双極子相互作用は、分子の極性を互いに相殺するよう配列させようとする。