リン脂質ビニルモノマー（MPC）の開発と発展－究極の生体材料－

摘要

筆者らがリン脂質類似モノマーやポリマーの研 究を始めてからはや40年になる。その間に、多 くのリン脂質類似モノマーやポリマーおよびその ほかの関連化合物を合成し、物性を調べてきた。 特にリン脂質分子の極性部（ホスファチジルコリ ン部）を切り取った部分に、ビニル基を末端にも つ2－（メタクロイルオキシュテル）ホスファチジ ルコリン（MPC）が1982年、筆者らによって世界 で初めて合成された。合成は至って簡単で、純度 よく好収率であり、強力吸水性モノマーで安定な 化合物である。以来、MPCを生体材料、医薬品、 医療用センサー、化粧品などに使う研究や開発が 活発である。ここに筆者らの研究の一端を記しそ の展望を行う。