導電性に優れダイヤ並みの硬さをもつ炭素皮膜の量産化を実現

摘要

どうしてカーボンの研究を始めたかという経緯ですが、私はもともとNTTの研究所でハードディスク関連の研究に携わっておりまして、主にハードディスクに使われる磁性材料についての研究をしていました。 当時は、ハードディスクの信頼性を高めるためのトライポロジーが、非常に重要な技術になっていました。 ハードディスクでは、ヘッドクラッシュが一番怖いため、トライポロジーという観点から磁性膜を保護する研究を始めたわけです。 ハードディスクの保護膜の研究を行うための一番のポイントは、非常に薄い膜をつくる技術を開発することでした。 とくに、最近のハードディスクに使われる保護膜は、5～3nmと非常に薄い膜をつくることが要求される世界になっていますので、いろいろな材料の薄膜を検討し、その中からカーボンによる保護膜がハードディスク向けとして適していると考えたことから、炭素皮膜による保護材の開発を開始したわけです。