ヘルスケア市場の環境変化が化学業界にもたらすインパクト

摘要

2000年代以降，世界のヘルスケア市場は大きく変貌を遂げた。相次ぐ医薬品のイノベーションにより，従来は治療·完治が困難であった疾患の治療が登場し，先進国のみならず途上国の平均寿命，及びQOL（Quality of Life）は大きく改善した。一方で，薬剤の 効果が劇的に改善する反面，製薬会社の研究開発費は増加の一途を辿り，その結果として薬価の上昇傾向も加速している。例えば昨今日本においても話題となったC型肝炎治療薬ソパルディの上市時薬価は，1錠当たり約6万円，3週間1サイクルでの薬剤費は520万円という驚くべき水準となっている。