糖尿病を合併した末期腎不全患者に対するニコランジル長期経口投与の有用性－経皮的冠動脈形成術を施行した血液透析患者での検討－

摘要

末期腎不全（end－stage renal disease：ESRD）は，虚血性心疾患（ischemic heart disease：IHD）による死亡の危険因子であることが認められており，また，心血管系疾患（cardiovascular disease：CVD）は血液透析中のESRD患者の主要な雁病および死亡原因となっている。 現在，糖尿病を原疾患とした慢性腎不全患者の増加に伴い，これらの患者では心血管イベント（cardiovascular event：CVE）発生の増加が指摘されている。 その背景には動脈硬化の高度な進行が原因の1つにあげられる。 腎不全患者では，動脈肥厚が保存期腎不全期からすでに進行しており，糖尿病を合併しているESRD患者ではさらに進行していると報告されている。また，ESRD患者では高度な血管石灰化が多く認められ，CVEの雁息率が強く相関するとの報告もなされている。