急性虫垂炎を契機に発見され追加手術を行った虫垂神経内分泌腫瘍の1例

摘要

虫垂神経内分泌腫瘍（neuroendocrine tumor ： NET)は，急性虫垂炎手術の0.47-0.93%に認められる.若年者に多く，大部分 は良性の経過をたどる腫瘍である.今回われわれ は，急性虫垂炎を契機に病理診断で発見され，追 加手術として腹腔鏡下回盲部切除術（D3郭清）を 施行した1例を経験したので報告する.腹部造影CT所見：虫垂根部は虚脱しており， 虫垂体部に造影効果の強い壁肥厚を認め，それよ り末梢で虫垂は腫大していた.右傍結腸溝から Douglas窩に腹水を少量認めた（図1).以上の所見から急性虫垂炎と診断し，同日腰椎 麻酔下に緊急で虫垂切除術を施行した.