症候としての下痢·便秘を理解する下痢発症のメカニズム

摘要

下痢と便秘は，日常の診療で多く遭遇する疾患であるが，とくに下痢は便意切迫感や脱水症状を伴い易いため患者が医療機関を受診することが多い疾患である．しかし，下痢はともすれば対症療法に陥り易く止痢其の投与を行うことも少なくか〕が，大腸菌O157などの病原性の強い細菌の感染による下痢ではこの止痢薬の投与が細菌の腸管外－の排出を遅延させるため病状を悪化させたり死亡の誘因となることも少なくない．したがって，下痢の治療は下痢発症のメカニズムを考慮した合理的アプローチが必要となる．