Alzheimer病とアポト一シス

摘要

AIzheimer病は，記憶や認識に重要な脳部位のニューロン死が大量に起こる神経変性疾患である.Alzheimer病の脳では神経原線経変化や老人斑によって特徴づけられる病理像がみられるが，これらの変化とニューロン死の因果関係は明確ではない．老人斑を構成するアミロイド線維の主成分であるアミロイドβ蛋白質（Aβ）は培養系細胞のアポトーシスを引き起こすため，ニューロン変性のin vitroモデル系として広く用いられている．一方,Aβの前駆体であるAPPはin vitroおよびin vitroにおいてニューロン内に過剰に蓄積するとアポトーシスを誘発する.また，ニューロン中のAPPはアポトーシスを実行する蛋白質分解酵素であるカスパーゼ3によって分解を受ける．本稿ではAβとAPPに関する研究を中心に,Alzheimer病におけるニューロンのアポトーシスについて考察してみたい．