急性冠症候群とス夕チン

摘要

不安定狭心症や心筋梗塞は,冠動脈プラークに破綻が生じ，それに続いて冠動脈内腔に血権が形成されて内腔が閉塞または亜閉塞されるため発生することが明らかにされ，一括して急性冠症候群ともよばれるようになった.現在,冠動脈プラークの破綻のメカニズムが明らかとなりつつある．その中心とをるのが，冠動脈プラークに浸潤しているマクロファージをはじめとした炎症細胞である．リンパ球との相互作用のなかでマクロファージは，matrix metalloproteinaseというプラーク構造を支える線雑成分を溶かす物質を分泌し，さらに血栓性に富む組織因子を多く発現することで，冠動脈プラークの破綻とそれに続いて生じる血栓を引き起こす．一方,高コレステロール血症の治療薬としてHMG－CoA還元酵素阻害薬が心血管イベントの抑制に効果があることが報告されているが，そのメカニズムとしてマクロファージをはじめとした炎症細胞に対する作用があることがわかってきた．