リソソーム病 最近の酵素補充療法の開発状況

摘要

リソソーム病は細胞内のリソソームに存在する酵素群やその関連因子の障害により本来リソソーム酵素が分解すべき基質（多くは糖脂質や糖蛋白質）がリソソーム内に蓄積して多彩な臨床症状を示す疾患群である．近年まで，リソソーム病に対する有効な治療法は確立されていなかったが，1990年にGaucher病に対してヒト胎盤から精製されたグルコセレプロシダーゼの点滴静注による酵素補充療法が著明な効果を示したことをきっかけとして遺伝子工学を利用した酵素製剤の開発が行われている．とくに，この数年間で多くのリソソーム病に対する酵素薬の臨床治験が行われ，その承認が待たれている．本稿ではおもな疾患に対する酵素補充療法の開発状　 況について紹介する．