感染症対策の歴史?成功例：日本における寄生虫対策と国際保健協力

摘要

明治維新によつて開国した日本は，海外の医学に照らし合わせて日本に存在する多くの奇病や難病が寄生虫によるものと気づいた.維新後に招聘されたE. BaelzやH.B. Scheubeらヨーロッパの学者が研究の先鞭をつけた.日本からは，多くの留学生がヨーロッパで微生物学，医学を学hで，成果を日本で広めた.司馬遼太郎 のいう"配電盤"の役割をした人びとである.国内の寄生虫だけでなく，海外植民地における寄生虫の問題も クローズアップされた.台湾，朝鮮，満洲などに建設された医学校で，日本人研究者は現地の風土病としての 寄生虫の防圧問題に取り組hだ.太平洋戦後，どh底からの自助努力と，アメリカの援助を部分的には受けな がら多方面の寄生虫防圧が続けられた.こうして日本は歴史上はじめて寄生虫防圧に成功した.1960年代か らは海外での医療協力，あるいはWHO, PAHOなど国際機関への協力，さらには1990年代の橋本ィニシァ チブへと進hだ.ここではいくつかの寄生虫防圧史をみてみよう.