大腸癌の遺伝子異常の特徴と生物学的意〗

摘要

大腸癌の遺伝子異常はもつとも研究が進hでいるといっても過言ではない.有名なadenoma carcinoma sequenceに対応してAPC, K-ras, p53, PIK3CA遺伝子変異が蓄積し，転移にかかわる遺伝子増幅や遺伝子欠失，印igeneticな異常が生じる.今回，これらの知見をオーバ一ビュ一するとともに，各現象におけるcritical issueについて証明された科学的デ一タを紹介する.APC変異で遺伝子発現が低下することは本当に cancer predispositionにつながるのか.変異K-ras,変異PIK3CAはtumorigenesisにどの程度寄与している のか.p53は本当に腫瘍抑制遺伝子なのか.そういった素朴な，しかしもっとも本質的な疑問に答える洗練された学的証明が多く"報告されている.また，これら発癌初期の変化とは別に，転移癌における遺伝子異常は包括的に検索され，検証レベルの高いものについて情報を集めた.これらは，現行の治療で手に負えない高度進行大腸癌に今後どのようにして立ち向かうかを示唆する情報源となると考える.