p53と老年疾患

摘要

高齢化社会の加速とともに，癌，耐糖能異常， 心血管疾患などの老化関連疾患は増加の一途をた どっている.加齢に伴い，組織，臓器においても 老化細胞の蓄積を認めることが報告されており， 細胞老化は個体老化や老化関連疾患の病態の基盤 となると考えられている.テロメァ短縮や放射線，発癌物質や酸化ストレスなどによるDNA損傷はDNA損傷応答（DNA-damage response ： DDR)を引き起しし,おもに p53経路を介した細胞老化誘導のきつかけとなる (「サイドメモ」参照）.DNA損傷が生じると， チェックポイント機構により細胞周期が停止し， 修復機転が働くが，修復不可能な場合にはァポ トーシスや細胞老化誘導が生じる.