アポEとAIzheimer病アポEの分子病態と疾患発症機構

摘要

アポリボ蛋白E（apolipoprotein E：アポE）のepsilon 4アリルは，AIzheimer病（AIzheimer's disease：AD）の最大の危険因子として広く一般に認められている．アポEは中枢神経系において脂質の動員や再分布に関する重要な機能を有しており．何らかの機序によりADの病態を促進するものと考えられている．アポE4は分子内の領域間反応をきたして障害反応性を有する中間体を生成する傾向があり，また中枢神経系の病態において神経細胞内で生成されたアポE4の断片が細胞骨格の変性やミトコンドリアの障害をきたして，神経細胞死を惹起するものと考えられている．以上の観点よりアポE4をアポE3様の構造に転換する薬剤．細胞毒性を有するアポE4の断片の生成を抑制する蛋白分解酵素阻害薬，ミトコンドリアのエネルギ－産生系を保護する薬剤などが，ADの治療薬として有用となる可能性が示唆されている．