新規fluoroquinoIone系抗菌薬T－3762のヒスタミン遊離活性に関する評価-イヌ皮膚片での検討－

摘要

T－3762は，fluoroquinolone系抗菌薬pazufloxacinのメタンスルホン酸塩であり，注射使用を目的として臨床試験中である．．本案は強い抗菌力と広範囲な抗菌スペクトルを有し，各種実験的細菌感染症モデルで治療効果を示すことが確認されている．また，欧米で注射剤として使用されているciprofloxacin（CPFX）およびofloxacin（OFLX）では，静脈内投与部位での疼痛，発赤，掻痒，熱感あるいは静脈炎が報告され，ヒスタミン遊離がその原因のひとつに考えられている．著者らは，T－3762のこれらの副作用を予測するために，本系抗菌薬によるヒスタミン遊離の感受性が高いイヌを用い，皮内投与局部の血管透過性を測定した．そして，その克進作用がCPFXおよびOFLXに比較して弱いことをすでに報告している7）．今回，T－3762のヒスタミン遊離作用を評価することを目的として，イヌ皮膚細片からのヒスタミン遊離量を測定した．