マウス移植腫瘍細胞内·外pHのMRSによる非侵襲的同時測定－腫瘍の増殖に伴う~（31）P－MRSによる腫癌細胞内pHと~（19）F－MRSによる腫瘍細胞外pHの変化一

摘要

腫瘍組織内·外pHは，癌の治療，とくに放射線治療や癌の浸潤·悪性度に大きく影響する重要な因子である．細胞内pHはリンのMRS（magnetic resonance spectroscopy）による無機リンとクレアチンリン酸の化学シフトから容易に求まるほかに，pHにより螢光が変わるpH試薬法や，電極法など種々の方法が検討されている．しかし，細胞外pHの報告は少なく，とくにin vivoでの腫瘍細胞内pHと腫瘍細胞外pHを比較した報告はない．細胞外液は，問質液，管内細胞外液（血液·リンパ液·髄液など）からなり，つねに流動的であるが，虚血部位や腫瘍局所では細胞外pHも細胞内pHと同様変化するかどうか非常に興味深い．そこで，マウス下肢に移植した腫瘍の，同部位の同時期の腫瘍細胞内·外pHを生体に非侵襲的に測定し，腫瘍の増殖に伴う変化を検討した．